「子どもは地域の宝」児童の安全な登校を見守るボランティアに密着 統合で校舎が変わっても変わらないもの
少子化が進む秋田県内では、毎年のように小中学校の再編や統合が進み、その歴史に幕を閉じる学校も相次いでいます。
創立151年の歴史を誇る秋田市の土崎小学校も、来年度、土崎南小学校と統合し、校舎は、現在の土崎南小学校を活用することが決まっています。
現在の校舎に通うことがなくなる土崎小学校の児童の安全を、毎朝、見守り続ける人たちの思いを取材しました。
梅村和義さん
「きのう入学式が終わりまして、きょう1年生が初めての登校なんですね。すごく1年生と会うのが楽しみで、きょう来ました」
秋田市の土崎小学校から約140メートル。
5本の道路が交わる複雑な交差点に、梅村和義さん76歳は、毎日、立ち続けています。
この地区で生まれ育った梅村さん。
土崎小見守りボランティアとして活動を始めてから15年、学校がある日はいつも児童の安全を見守っています。
新1年生も、元気に学校へと向かいました。
雨の日や雪の日も、去年、周辺でクマの出没が相次いだ時も、活動を続けてきた、土崎小見守りボランティア。
しかし、創立151年を迎えた土崎小学校は、少子化の影響で、来年度、土崎南小学校と統合し、新生「土崎小学校」として、現在の土崎南小学校の校舎で新たなスタートを切ります。
今の校舎に児童が通うのは、今年度が最後です。
梅村さん
「土崎小は、登校時に子どもの見守り活動を主にしておりますけども、南小はどちらかというと下校時に子どもたちの見守り活動を生懸命頑張ってるというような感じであります」
通う校舎が変わっても、ボランティアのメンバーは、児童を見守り続けることにしています。
学校までの距離が遠くなる児童が多い中、すでに来年度以降、どの場所でどのように活動していくべきか、話し合いを重ねています。
梅村さん
「南小は、南小のボランティアの人方のやっぱり気持ちもあると思いますので、どういうような意見を持っているかなと思ってね。そっちの方も聞かなければダメだなとは思っているんですけどもね。早急にまずやりたいなとは思っていますけれども、来年のことだからね」
山田久子さん
「一応ここを通って最短に行く方がいいものか、やっぱり決めないことには、子どもさんたちもちょっと、きょう早く行くからとかってね、1人で別の方に行ったりとか、そうなるとあれだし、早めにね、そこら辺のこと」
梅村さんが代表を務める土崎小見守りボランティアのメンバーは、現在29人。
子どもたちから毎年のようにもらう手紙と日々の会話が原動力だと言います。
山田久子さん
「道すがら、小学校のね、そこまでいろんな話をするんです。子どもさんたちってね、それがとっても楽しくって」
山本嗣久さん
「子どもたちの方から報告してくるのんだもの。きのう何があったっていうのね。そうすれば、きのう東京に行って来たとかってね。そこの家の家庭のことも報告するの」
船木健治郎さん
「子どもたちの方がみんな自分たちのことを覚えてくれて、いなければ心配するの、きょうあのおじいさん立ってないよって言われるね」
メンバーのほとんどがここ、土崎地区で生まれ育ったという土崎小見守りボランティア。
記者
「子どもたちはどんな存在?」
船木さん
「やっぱり宝だな。地域の宝だよな」
梅村和義さん
「子どもたちから、朝、『おはようございます』というような声かけね、それから『行ってきます』っていう声かけ、これが非常にうれしいわけよ。私方ももちろん『気を付けてね』とか『行ってらっしゃい』とか『おはようございます』とか、声かけ、『おはようございます』のエール交換ができるのよ。へばね、朝からすごくね、うれしい気持ちになれるのね」
毎朝、元気に登校する子どもたちの姿を原動力に。
土崎小見守りボランティアはこれからも、地域の“宝物”を守り続けます。