未だ多くの道路が通行止めのままで…畜産農家に重くのしかかる大雨被害の目に見えぬ影響

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秋田 2024.11.25 18:58

ことし7月の記録的な大雨の降り始めから24日で4か月となりました。由利本荘市では今も多くの道路が通行止めのままとなっています。土砂崩れなどの被害が大きく復旧工事は思うように進んでいないのが現状です。不便な生活を強いられる由利本荘市の畜産農家を取材しました。

由利本荘市で畜産業を営む齋藤喜良さん70歳。午前7時半。自宅から直線距離で約12キロ離れた場所にある農場へ車で向かいます。

齋藤喜良さん
「どこを通ればいいかなっていうのがあったんで、まず第一がそれだった。いろいろ通れるところ、どこあるかなって探して、今のルートを2、3日4日くらいあとにここ通れるっていう話になって今このルートが通勤ルートになってます」

以前はおよそ20分ほどで通勤していた齋藤さん。

しかし、今年7月、国道から農場へ通じる市道が大雨による土砂崩れで寸断されてしまいました。

う回路を通らなければいけないため、現在の通勤時間は約40分。これまでの倍の時間がかかりガソリン代も掛かり増しになりました。

齋藤喜良さん「痛いを通り越している。距離よりも40分も走ったら秋田市まで行っちゃうからね7号線走っていけば。」

齋藤さんを特に悩ませているのが狭く、急な坂道です。地元の住民など普段は限られた人しか通らないうっそうとした山道を進みます。

道路の幅は狭い所で4メートルほど。対向車が来ればすれ違うのもやっとです。

これから迎える本格的な冬。雪が積もったり道路が凍結したりした場合、運転には危険が伴います。

去年、大病を患い半年間入院生活を送った齋藤さん。年を重ねた身体には通勤による負担が重くのしかかります。

齋藤さんが農場で育てている黒毛和牛は約250頭です。

生後10か月ほどの子牛を仕入れ、およそ1年半をかけて体重が800キロほどになるまで育ててから出荷しています。

ウシを大きく育てるために欠かせないのが主に穀物を原料にしたエサです。価格はこの3年で2倍近くに膨れ上がりました。

齋藤喜良さん
「ほかの業種であれば掛かった経費分上乗せってのありますけど、ここは上乗せでなくて経費掛かり増ししてるのに単価はどんどんどんどん下がっていくっていう。誰かどうにかしてって言ってもうまく回らない。」

エサ代の高騰に枝肉の取引価格の下落。ただでさえ厳しい経営に追い打ちをかけたのが今年7月の記録的な大雨でした。

本格的な冬を前に齋藤さんが最も危惧しているのが牛の運搬作業です。

齋藤喜良さん
「まさかウシ積んで事故るワケにもいかないし、傾斜がきつい所を行くとウシってやっぱり転んだりするんだよね。ケガしたり間違えばこう死んだりすることあるんで冬季間の出荷のコースをどうするかなっていうのがいま一番思ってることです。」

由利本荘市によりますと、記録的な大雨の後、市内の道路の80か所以上が今も通行止めのままとなっています。

道路が寸断されて4か月。齋藤さんは片側でもいいので1日も早く道路の通行を再開して欲しいと訴えています。

由利本荘市によりますと、農場周辺の道路は国の災害復旧事業の査定中で通行再開のメドは立っていません。土木や建設の現場では人手不足が深刻化していいて復旧の遅れが懸念されています。