記録的大雨から9か月 深刻な被害を受けた農地はいま 不安を抱えたままの春作業へ

この記事をシェア

  • LINE
秋田 2025.04.24 18:02

去年の記録的な大雨から、24日で9か月です。

農作物も深刻な被害を受けた由利本荘市では、農地の修復工事が今も進められています。

大雨の爪痕が残る中、迎えた春作業の時季、模索を続ける農業法人を取材しました。

由利本荘市の旧西目町の中でも山間部にある地区で農業法人を営んでいる、三浦誠さん61歳。

コメや大豆を主に作付けしています。

三浦誠さん
「ようやく3月から着工が始まって、予定では7月末で終了という予定」

去年7月の記録的な大雨で、すぐそばを流れる西目川が氾濫して、この周辺の農地はほぼ全てが水に浸かりました。

農林水産関係の被害が特に大きかった、去年の大雨。

広い範囲で農地や林道などに水が押し寄せ、被害額は県全体で過去最大の約185億円にのぼりました。

このうち6割余りを由利本荘市が占めています。

三浦さん(当時)
「あそこまでアスファルトなんですよ、多分それがはがれて流されてきたのかなと」
「大豆です、これ全部大豆です」

三浦さんの農地でも、大豆はほぼ全滅。

コメも刈り取れる範囲は限定的でした。

大雨から9か月が経ち、決壊した川の堤防は、仮復旧を終えています。

しかし。

三浦さん
「仮復旧しただけで、こっちの圃場は全然手が付けられていないっていうか、農地には復旧しないという」

土砂や石が大量に入った田んぼの自力での復旧は困難を極めるため、諦めざるを得ませんでした。

今、復旧を進めている約3ヘクタールの田んぼも、今シーズンの作付けには間に合わない見込みです。

それでも、一歩ずつ工事が進んでいることには安どしているといいます。

「この辺でもたぶんここが国の事業を使って最初の現場というか、だからそれに関してはうれしいなと。じゃあ来年には作付けできるなぁみたいな」

先行きに希望も見出しつつある中、少しずつ前へ。

1キロほど離れたところにある大豆畑は、由利本荘市の復旧工事が去年の末までに終わり、例年通りに作付けができる見込みです。

ただ、三浦さんは、20年余り農業に携わる中でも経験したことがない環境で迎えた春に、不安はぬぐえないと話しています。

三浦誠さん
「元の状態に100%は絶対になっていないので、心配ですね」
「地域の土地財産を守っていかなきゃという使命もありますし、頑張らなきゃなということもありますね」

いまだ大雨の爪痕が残る中、本格的な春作業が始まります。