【特集】30日告示の秋田市長選挙 立候補を表明している2人のスタジアム整備についての主張は?
続いては、30日に選挙戦がスタートする、秋田市長選挙についてです。現時点では2人が、出馬を表明しています。
秋田市長選の争点の一つとなるのがスタジアムの整備についてです。必要という立場は共通していますが、施設をどうつくるかについては、主張が異なっています。
秋田市民だけでなく、県民にも費用負担を求める可能性があるこの事業をどう進めていくのか、それぞれの考え方をまとめました。
広報誌とフリーペーパーの表紙に…
イメージアップを図るため、努力を惜しまない2人。
真っ赤なイチゴを両手に笑顔をみせる67歳、穂積志氏。
真っ赤な上着に身を包み、カップ片手にくつろぐ51歳、沼谷純氏。
秋田市内の住宅に配られた市の広報誌とフリーペーパーです。先月はじめ、それぞれの表紙に掲載された2人が、今月15日、同じテーマについて熱い思いを語りました。
その日は、テーマに深く関わる、サッカーJ2・ブラウブリッツ秋田がホーム開幕戦を迎えた日です。
穂積志氏
「元気ですかー!秋田市長の穂積でーす!」「新しい、新築されたスタジアムで勝利をし、サポーターの皆さんと選手の皆さんが一体となって狂喜乱舞する、喜び合う。そんな夢をよくみるんです!」
8000人近い観客に向け、新しいスタジアムの夢を見るようになったと明かした、穂積氏。
そのちょうど同じ頃、沼谷氏は、約300人の市民に向け、スタジアムに関する自身の考え方を説明していました。
沼谷純氏
「きょうちょうど、サッカーの。ブラウブリッツのホーム開幕戦であります。このことも少しお話させていただきたいと思っておりますが」「ASPスタジアム、今ある秋田市の公立のスタジアム、この改修を第一に考えたいと思ってます。新しいものを200億円かけてつくるのか、今あるものを直して使うのか」
秋田市のリーダーが、向き合うことになる大きな課題の一つが、サッカー・ブラウブリッツ秋田のホームとなるスタジアムの整備です。
建設候補地は、市役所の目と鼻の先、八橋運動公園内です。
しかし、事業をどのように進めていくか、2人の考え方は大きく異なります。
スタジアム"新設"を主張する穂積氏と既存施設の"改修"を主張する沼谷氏
ゼロから新しく建設する、「新設」を主張するのは穂積氏。第2球技場と健康広場がある土地に新たなスタジアムをつくり、解体作業が進む、旧・文化会館の跡地も、施設に関連する場所として整備したい考えです。
一方の沼谷氏が主張するのは、既存の施設の改修です。ラグビーの試合会場として使われることが多い、ASPスタジアムを改修して利用したいと主張しています。
市が中心となって事業を担い、整備費用の大部分を国や県、市の公費を充てる公設方式で進めることについては、両者に主張の差はなく、施設自体が必要との立場も共通しています。
新スタ協議会での市側の説明
「プロからアマチュアまで幅広い年代が利用でき、さらに、県民市民の健康増進につながるイベントをはじめ、多目的な活用が可能で、防災機能も備えた公共性の高い施設となることが求められております」
秋田市は、建設費用の負担を求めようとしている県や、民間からの資金調達を検討するブラウブリッツ秋田と、定期的に意見を交わしていますが、3者の議論は、スタジアムの新設が前提の話し合いです。
ブラウブリッツ秋田・岩瀬浩介社長
「様々な我々の活動を通して、いわゆる一言でいいますと、我々はもうサッカー事業だけではない、様々な事業の展開を含めて、この秋田の地域活性化に取り組んでいければなと」
新設を前提としているのは、地域活性化や経済波及効果への期待だけでなく、ブラウブリッツ秋田が、J1、J2でプレーするために欠かせない条件でもあるからです。
クラブは、スタジアムを将来的に新設することを条件に、J1、J2への参加資格を得ています。新設の方針が改修に変われば、これまで通り、参加資格を得られるかどうかは不透明です。
それでも沼谷氏が改修を主張するのは、事業にかかる費用を抑えることで、市民の負担が減らせると考えているためです。
沼谷純氏
「大きなピカピカの素晴らしいスタジアムができれば、それでいいのかもしれません。でもそれはすべて、ここにいらっしゃる皆様の税金であります」「市民の皆様の負担を1円でも少なくしていく、当然プロスポーツも大事です。頑張っていただきたいとも思います。私自身としても応援はしています、もちろん。でもそのことと、皆さんの税金を使うのは、また違う話ですので、そこをしっかりと、私が市長にならせていただけたら、改修という道を追求していきたいと思っております」
J1、J2の参加資格を得るための新たな協議がJリーグ側と必要になるものの、沼谷氏は、改修でも理解は得られると話します。
沼谷純氏
「当然Jリーグとの交渉、協議は必要になると思いますけれども、新設をするよりも早く・安くできるということであれば、当然市民の皆さんもそちらの方がいいと思いますし、市民の皆様のご理解というものをしっかりといただいたうえで、Jリーグと協議をするわけですけども」「そこはきちんと、秋田市の民意としてお話をしたうえで、改修という形が可能であれば、それをきちんとJリーグ側と交渉して、ご理解いただけると思ってます」
一方、J1、J2への参加資格を得る後押しを続け、クラブとも緊密な連携を図ってきた穂積氏は、一貫して「新しさ」にこだわります。
ブラウブリッツのユニフォームを着る穂積氏
「ちょっと持ってて着るから。今着るよ。ちょっと待ってよぉ」
特に建設候補地をめぐり、迷走していた議論が、ようやく長いトンネルを抜け、先の見通しがついたと考えている穂積氏。今年1月には、ブラウブリッツ秋田の後援会や、スポーツ団体から建設を急ぐよう要望を受けたほか、市議会からも一定の理解を得られたと話し、事業を前に進めたい考えです。
穂積志氏
「議会の方も意見いただきましたけれども、今のところ主だった、我々に対する反対とか、そんなこともないようなので」「ギュッと…その…ステップアップっちゅうか、ホップステップジャンプのように前に進めるようにね」
穂積氏が主張する「新設」の場合に課題となるのは、事業費の見通しです。
穂積氏
「ある程度の基本設計、基本計画を立てていかないと、今の段階ではまだ…ある程度の額、おおざっぱな、それすらもなかなか今は出せない」
建設候補地が外旭川地区だった去年の時点での事業費の試算は約90億円でした。穂積氏は、新たな費用の試算を今の任期中では示さず、施設の規模や機能を決めたうえで、明らかにしたいと述べています。
秋田市民だけでなく、県民にも費用負担を求める可能性があるこの事業をどう進めるかも争点の一つとなる選挙戦は、あさって=30日にスタートします。
スタジアム整備以外の、2人の公約の一部や、期日前投票に関する情報は、ABSの日々のニュースを掲載するウェブサイトの中でも、詳しく紹介しています
[https://news.ntv.co.jp/n/abs/category/politics/ab6690db177c2243179a235c5f589b600c]ので、ぜひご覧ください。
秋田市長選については、告示後のニュースの中でも、選挙戦の様子をお伝えする予定です。