ニュース
テレビ
ラジオ
イベント・映画
アナウンサー
番組表
動画配信
ブログ
ABSあぷり
SNS

会社概要

番組審議会リポート|
PROGRAM COUNCIL REPORT

第657回秋田放送番組審議会リポート

第657回番組審議会が3月24日に開かれました。合評番組は「100周年のトライ ~秋田高校ラグビー部の軌跡~」でした。

委員からは
花園に6回出場しているという秋田高校ラグビー部の輝かしい歴史と共に、部員不足の中でなんとか試合に出たいと悪戦苦闘する現役の部員たちの頑張りが良く伝わってくる番組だった。ただ、これは秋田高校ラグビー部に限ったことではないが、少子化で学生スポーツのあり方が変わっている中、過去の栄光からくるイメージを投影することは子供たちに過度なプレッシャーを与えることになりはしないか、ということも考えてしまった。

花園に向けてバレーボール部から助っ人を2人借りて練習した時、キャプテンが「人数がそろっているだけで楽しさが倍増します」と語っていたのが印象的だった。15人でするスポーツを15人でできる、当たり前のことがそれほど楽しい、それだけラグビーが好きなんだな、という素直な思いが伝わってきた。

涙なしでは見られない、心打つ番組だった。高校生のすがすがしさ、キャプテンのリーダーシップや賢さに心を奪われてしまった。メンバーがそろわずに出られなかった試合で運営を手伝っている姿から、どんなに試合がしたかっただろう、悔しかっただろう、という部員たちの気持ちが伝わってきた。また、経験のない助っ人選手が、足を引っ張りたくない、と頑張る姿に心を動かされた。スポーツっていいなぁ、若いっていいなぁ、と素直に思わせてくれる番組だった。

創部100年という節目の年の現役部員の姿と、そこに100年の歴史がうまく織り込まれていて、バランスよく構成されていた。このバランスを支えているのは、昭和42年、58年前の花園初出場の試合映像を自前で持っていて自在に使えるという事実であり、これは秋田放送の強みだと思う。テレビ放送を開始して7年目に撮影していた、という歴史の持つ力を感じた。

カメラアングルがとても工夫されている、と感じた。部員たちが砂埃を上げながら練習しているシーンを夕日越しのシルエットでとらえたり、最後の試合が終わった後、ゴールポストに太陽が当たっているのを見上げるようなアングルでとらえたり、とても美しい映像がちりばめられていて、これらの映像が番組のコンセプトや部員たちの想いなどを、言葉によらずに雄弁に語っていた。

人数不足で部活がなかなか成立しない、というのは以前にも取り上げられていたテーマで、大きな課題だと思う。学生スポーツをこれからどうしていくのか、ということは改めて別の番組で取り上げて、深掘りしてもらいたいと思う。
といった意見が上がりました。

第656回秋田放送番組審議会リポート

第656回番組審議会が2月18日に開かれました。合評番組は「ABSラジオスペシャル 見えない病」でした。

委員からは
高次脳機能障害を抱えながらシンガーソングライターとして活動する大川ちさとさんの歌や率直なインタビューを通じて、障害を抱える人がどんな思いで日常を過ごしているのか、どんなサポートを必要としているのか、などがわかりやすく伝わってきた。

「高次脳機能障害」という言葉の発音、特にイントネーションや言葉の区切り方が発言する人ごとに違っていて、気になった。言葉自体が定着していない、イコール理解が進んでいない、ということなのだろうか。

大川さんが、白血病から脳梗塞、そして高次脳機能障害を持つことになった経緯がわかりやすく伝わってきた。そして、感情が不安定だったり時間を守れなかったりといったことで、周囲から誤解されていた中、「障害と診断されてほっとした」という言葉に苦悩の大きさが凝縮されていたと思う。

普段ラジオを聞かないため、1時間のラジオ番組を聞くことはかなり大変だった。しかし、集中して聞いてとてもいい番組だと思った。番組には4つの曲がうたわれていたが、曲ごとに4回に分けて放送してもらえればラジオになじみのない人にもわかりやすかったのではないか。

自分の障害を隠すことよりも、周囲にさらけ出してできないことは助けてもらう、という発想もあるのだな、と思った。歌っている曲の歌詞をネットで検索し文字で見たら、まさに自分をさらけ出している曲だった。しかし、暗さはあまり感じず、希望のある、心に残る曲だった。いろいろと考えさせられる番組だった。

番組で伝える内容と大川さんが歌う歌詞とがピシッと合っていて、聞く人にインパクトを与えながら伝えることができていた。また、病院で緊急処置を受けるためにストレッチャーにのせられたとき、縁起物のカエルが入った額縁が割れてしまった場面をお母さんが語るシーンなどは、頭の中に映像が浮かんできて心に迫るものがあった。ラジオならではの効果だったと思う。

番組を聞いていて、障害とはなんだろうか、ということを考えさせられた。障害は個性だ、という見方もあるが、ならば支援はいらないよね、という風に独り歩きしてしまいかねない。また、我々も皆いずれは歩けなくなったり認知症になったりして支援が必要になってくる。また、性格だって不安定な部分、暴力的な部分などは人間だれしも多かれ少なかれ持っている。そうした、障害とは何か、支援とは何か、人間とは何か、という重い問いを突き付けて来る番組だった思う。
といった意見が上がりました。

第655回秋田放送番組審議会リポート

第655回番組審議会が昨年の12月16日に開かれました。議題は「2024年を振り返って」でした。

委員からは
秋田放送は開局70周年ということで、開局記念番組は力が入ったものが多かった。特に民謡を扱った番組が2つ入っていて、民謡に関するこれまでの積み重ねが感じられた。

「大雨から1年」や「クマージェンシー」では現在進行形のニュースをしっかりと息長く取材した内容が印象に残っている。「相撲少年」やブラボー中谷さんの番組は、ちょっとした出会いからしっかりと取材を重ねて相手から本音を引き出しているドキュメンタリーだった。担当者が個人として、思いや相手との関係性をつないで形にしている番組が多いと感じられた。

クマの問題で秋田県が全国的に注目される前に「クマージェンシー」を制作していたのは先見性が感じられた。クマが目の前にいることが不思議ではなくなってしまった日常が、映像を通して訴えられていた。クマの駆除についても、暮らしを守るためには致し方ないことなのではないか、という問題提起がされている番組だった。

合評番組全体を通して感じられるのは、「人」が大事だということ。番組タイトルに人の名前が入っていることで印象に残りやすかったり、相撲少年が部活づくりで苦労している顔を見て地域の問題の深刻さを感じたり、人にフォーカスして伝えることで、それに付随した様々な問題や歴史などが入ってきやすくなるのだ、ということを感じた。

今年は今までの中でも特にレベルの高い番組が多かったと思う。民謡や伝統行事など秋田が誇れる文化が美しい映像と共に紹介されていて、これは秋田の放送局にしか作れない番組だ、と感じた。白神山地の美しい自然を紹介してもらい、自分でも行ってみたくなった。ABSには地域を代表する放送局として今後も私たちを楽しませてほしい。

ラジオ番組「花子の、はなみち。」は、ラジオが苦手だという人にも情景や気持ちが想像できて、とても分かりやすい番組だった。ラジオはSNSとのコラボも進んでいるし、新しい可能性が出てきているのではないか。ラジオは厳しい状況が続いているが、ラジオを持っていることが強みに変わる時代が来るかもしれない。少なくともそのためのアンテナは張っておくべきだ。

秋田に根差し、秋田の放送局だからこそ作れる番組を作っていく。しかしそれがどの地域、どの人間にも共通する普遍性に到達することで、その価値は全国、世界につながっていくことになる。それが今回、各番組を通じてある程度実現されたのではないか。地域に根差しつつ地域を超えることは、番組制作に限らず秋田県が向かうべき方向なのだと思う。
といった意見が上がりました。